木々の命と向き合って -五島と生きる人々-

 

みなさんお久しぶりです!広報担当のよっしーです^^

島にはすっかり春がやってまいりました。

そこかしこで菜の花が咲き始め、衣替えの真っ最中です…

が、なぜだか3月初旬に椿が満開を迎えました!!

 

「今年の冬は、花の付きがいまいちで心配だな~」と言っていた矢先のこと。

農園管理人のしっちーは「自然はわからん!」と困りつつも笑っていました。

生き物を相手に仕事をしていると、こうしたことがちょこちょことおきますね。

それぞれのペースで生きている椿たち、飽きる暇も与えてくれません!笑

 

 

さて、今回のコラムのテーマ「五島と生きる人々」の第3回では、我々と同じく「生き物を扱う仕事」をしている島の職人をご紹介します。

 

こちらは江川一真さん。五島列島で注目の木工職人であり、日本ミツバチの養蜂家です。

 

(江川さんの「蒼い森の工房」にお邪魔しました。いつもにこにこ笑顔の江川さん)

 

実は、五島の椿の農園にあるミツバチの巣箱は江川さんが管理しています。

春になってミツバチも活発になる時期。これから江川さんは島中を飛び回り、分蜂(※1)した日本ミツバチを追いかける大変な作業に入るのですが…

ひとまず!

今回は「木工職人」としての江川さんについてご紹介させてください。

 

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江川さんは、3年前に五島市学校公務員を退職し、ご自身で「蒼い森の工房」という木工と蜂蜜の工房を運営しています。

長年五島列島の様々な学校に勤め、学校内の備品を修理したり、運動場や花壇の手入れをしたり…子供たちが育つ学び舎を、健やかに保つお仕事をしてきました。

 

学校のプランターやちょっとした棚の修理から、定年間際にはとうとう学校の演台や、ステージの階段を木材で作成するまでになっていたそうです。

 

(江川さんの工房には、沢山の道具があります)

 

「演台やステージの階段は、学校の備品でも購入できるけどやっぱりいい値段するんだよ。学校公務員の僕が作れば、学校にぴったりのオーダーメイドだし、木材の価格だけで作れる。結果的により良い材で、安価に作ることが出来たんだよね。」

 

その仕事ぶりと作り上げた作品の数々が、共に働く教職員のみならず、学校に通っていた子供たちやその保護者にまで伝わるのは…ごく自然な流れだったかもしれません。

 

 江川さんが定年を機にオーダーも受け付ける木工工房を立ち上げると、瞬く間に様々な依頼が舞い込むようになりました。

 

江川さんは顧客のオーダーに合わせて、様々な種類の木から最適なものを選んでいきます。

工房には何種類もの木が置いてあって、そこには五島列島産の貴重な木材も多数ありました。

あるときは台風で倒木した木に新たに命を吹き込み、島で話題にもなっていました。

 

 (木を選ぶ江川さん)

 

 作品を作る上で大切にしていることを尋ねると、開口一番

「木工は、木を削って、捨てるモノが絶対に出る」

という言葉が飛び出し、おもわずドキリとしました。

 

 

木材は持続可能な資源の一つで、削った後のゴミですら土に還ることができます。

一方で、世界の各地では木を伐りすぎて砂漠化したり。

逆に日本では戦後の復興として、昭和20-30年代にスギやヒノキが植林されましたが、木材の価値の低下や後継者不足などにより、山林の荒廃が目立つようになってしまいました。

五島列島の椿林も、所有者の高齢化や、相続による所有者不明が原因で、管理放棄される椿林がどうしても増えてきています。

 

五島の椿の自社農園では、剪定や断幹といった手入れの仕事があり、そのたびに、椿の木や枝が出てきます。

実を収穫すれば殻が出て、種から油絞れば搾り粕が出てきます。

椿林を管理したり、モノを作るということは、土に戻るとはいえ廃棄物を出してしまうことでもあるんです。

我々はこうした椿の枝や葉も無駄にはしないよう、肥料に変え循環型農業を実践したり、商品に活用しています。

 

それは江川さんも同じで、削りカスを養鶏場に譲ったり…そもそも木をできるだけ削らないようにと創意工夫を凝らしていました。

 

「捨てるモノを出してしまうからこそ、

 どうすれば木を活かせるか…ずっと考えてる」

 

捨てるモノが出るのは、モノづくりにおける定めなのかもしれません。

その言葉と真っすぐに木を見つめる江川さんの眼差し、

木工職人として常に「木々の命と向き合い続ける」姿勢に、感銘を受けたのでした。

 

(よっしー)

 

※1 分蜂:新しい女王蜂に巣を譲るため、親の女王蜂が働き蜂と一緒に引っ越しをすること

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蒼い森の工房

〒853-0211 長崎県五島市富江町黒瀬1132−3

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※訪れる際は事前にご連絡ください。